(株)東京木工所とSDGs

株式会社東京木工所は1924年の創業以来、社名の通り木材を通して皆様のお役に立ってきた老舗の会社です。

創業時は個人で建築用木材の製造加工業から始まり、時代と共に世田谷営業所・新木場営業所・昭島営業所・横浜営業所・木更津営業所と営業所兼倉庫の開設をしてきました(世田谷と横浜は現在閉所しております)。

当社は型枠用の木質商品を中心とした建設資材の販売を本業とする会社ですが、「木と共に」の意味を改めて問い直し自分たちの仕事と重ね合わせたところ、販売するだけではなくお客様が使用した後の木質商品の再利用(リサイクル)に思い至り、(今で言うところの)SDGsへの取組みとして、今から30年程前の1992年10月に埼玉県岩槻市でチッププラントを竣工し、木質チップの生産開始をしました。そして、時を経て2004年6月に千葉県木更津市で開設した営業所兼倉庫地に木質チップの生産だけではなく、コンクリート型枠用合板の代替品として独自の再生ボード「エコプライ」の製造工場を立ち上げたのです。

また、リサイクル事業だけではなく木の育成に対しても1997年から様々なイベントに協賛してきました。熱帯地域の植林事業にも公益財団法人 国際緑化推進センターを通じて協賛し応援している会社です。

当社は使い終えた木材を活かすため、岩槻工場で木質チップを生産し始めたことがきっかけとなって、営業所兼倉庫を開設した木更津の地にリサイクル工場を立ち上げることとなり、2003年にエコタウン補助事業(経済産業省・千葉県認定)として「エコプライ」製造工場を設立、翌年2004年に生産開始となったのが木更津工場の成り立ちです。

木更津工場製造の再生ボード「エコプライ」は、「木くず」と「廃プラ」のマテリアルリサイクルとして、100%の廃材で製品化を進めてきました。当社はもともと建設資材の販売を手掛けていたため、2002年に完全施工された建設リサイクル法に基づき建設工事に係る廃材の再資源化にも携わりたいと、「木くず」は建設現場から発生する型枠廃材をメインにチップ化し、一部は木製パレット廃材を混ぜた木質チップを原料として、「廃プラ」は主に建装用に使用されていた積層フィルムの余材品、その他PP・PE材を原料としている廃プラスチックを粉砕し原料として、型枠用合板の代替品の生産に取り組みました。

また、「エコプライ」の表裏面強度を高めるために、原料には皆さんもご存知のペットボトルの「キャップ」を粉砕した再生PPをメイン材として使用していました。そして、表裏面には使用済みの「エコプライ」や製造過程で発生するC級品(ダメージ品・端材品)を微粉砕し、増量材として再利用もしていました。

木更津工場は大きく分けて、再生原料を作るための「木くず」と「廃プラスチック」の中間処理場と、再生ボードを製造する工場に区分されていました。

当社独自の再生ボード「エコプライ」は、溶融した廃プラスチックを接着剤として板を作るという、それまでにない発想の製品だったため、製造と研究を繰り返す中、幾度となく失敗もありました。

100%廃材の原料では主成分が一定にならず質量変化を起こしたり、プラチック廃材の種類を統一できず接着性が低下したり、高温でなければ溶融しないPET材が混入したり、と様々の問題を抱えました。

コンクリート型枠用合板の代替品として生産された「エコプライ」は、比較対象が加工性や利便性の高い木材製品であることも高い壁となりました。商材として「重い」・「滑る」・「伸びる」などなど、木くずだけではなく廃プラが混入しているために生じる不具合が顕著に指摘されていました。

特に「重い」については、既存の型枠用合板(2X6サイズ)が9㎏/1枚前後であるのに対し、「エコプライ」は11.5㎏/1枚。基本構造では「木くず6:廃プラ4」としても、あくまでも嵩のことであり質量計算だと「木くず4:廃プラ6」とプラスチックの重さが表れてしまう結果で、この質量差は埋められるものではありませんでした。

また、試作品と製品作りに時間だけが過ぎてしまい、その間に型枠廃材の成分や廃プラの素材も変化し、そのことが製品の仕上がりを大きく左右してしまいました。中には、廃プラで受入れていた積層フィルムには、使用当初には無かったPETフィルム入りが開発され、廃材として搬入される時は見た目には分からないため、知らずに使用してしまったというケースもありました。

失敗も多かったのですが、新たな出会いにより繋がったネットワークに支えられたこともありました。最初は安価だったボトルキャップの粉砕再生品も、再生PETの余材品として年々単価が上り高値となったため、代替品がないか模索していたところ、こちらは「エコキャップ運動」との繋がりができ、ボトルキャップそのものを木更津工場で受け入れ、粉砕し原料化する流れを作ることが出来ました。当時はキャップを買取った代金を寄付することで、ポリオワクチンを世界の子どもたちに届ける運動支援に協力していました。

「エコプライ」の方は、このような試行錯誤ののちクレームの声を技術の力に変え…A級品とは言えないまでも、製造当初からしたら、比にならないほどの商品価値ある再生ボードに仕上がりました。

…あと一歩はなんだろう?と設備の仕様を改めて見直したところ、欠点は設備にありました。設立当初、製造テストを繰り返し実施していたころ、製造プロセスにおいて変更した点があったのですが、この時の判断が大きな課題として残ってしまっていたのでした。一定量・一定時間の原則を変えてしまったことにより、投入される再生ボードの原料が不安定(不均一)となり、塑性変形による伸び・曲りなどの原因を招いていました。

ここまでのエコプライ研究に歳月は6年かかりました。その間に説明した通り、各廃材の素材変化が起こり、ボトルキャップにも同様の波が起きました。選定時期にはほぼほぼ、PP素材100%と言われていましたが、プラスチック研究開発は高スピードでPE素材を改良し、その変化は著しく、早い段階でPPの代替品としてPEが多く出回っていました。見た目だけではわからず、「エコプライ」の原料使用での余材品を社外販売した際に、成型不良のクレームが起きたことによってそのことが発覚しました。

PPは工業製品での成型温度として扱いしやすい(150~180℃)素材ですが、PEは融点が低く溶けやすいため、成型温度の相違により発生した不良でした。当社でも粉砕した原料を検査してもらいましたが、

  1. PEの混入あり
  2. 混入率はサンプルの摂取する場所で変化するため整合性が取れず判定不能

という結果が出され、これ以上の製品開発は断念せざるを得ないと判断しました。

「エコプライ」の製造には、100%廃材(ゴミ)を再生ボードとしてリサイクルするという大きな使命と夢がありましたが、実際の開発・製造は紆余曲折の日々であり、かつ製品化されたものを更にリサイクルするということは莫大な製造エネルギーが発生し、電力などのコストが大きくのしかかってきます。廃材処分費でリサイクル経費を賄わなければならないところ、折しもメインの廃プラは原油高騰により一部有価引取条件に変わり、使用していたLPG単価は設計計算の3倍以上の単価に、製造原価を下げようと24時間体制で製造を実施すれば、想定以上の電気代により「エコプライ」事業は計画割れの現実を突きつけられてしまったのです。

ボード6年もの歳月を費やした「エコプライ」は、使用して判明した不具合により、残念ながら値下げ販売をせざるを得ず、ロットによってはクレーム品扱いとなりました。

残念ながらエコプライ製造工場は赤字続きの工場となり、休業・閉鎖・事業撤退などの経営判断を求められる事態になってしまいました。

事業としての「エコプライ」の製造は2011年3月に廃止予定がでていましたが、その直後に東日本大震災が起き、追い打ちをかける環境の変化を乗り越えられず、その通り製造終了となりました。

「エコプライ」の製造終了後も、当社はエコキャップ運動とワクチン支援は継続していましたが、年々中国への廃プラスチック規制の影響による再生PP単価の引き下げと、地域によるエコキャップ運動の拡散化及び収集回収が当社の回収減に繋がり、令和元年(2019年)で事業を断念し回収破砕は終了しました。皆様に長い間ご支援いただき心から感謝を申し上げます。

木更津工場は、時代の変化に乗り切れず「エコプライ」の製造を終了しましたが、東京木工所の「木と共に」の精神は生き続けており、木くずの再利用はマテリアルリサイクルからサーマルリサイクルへと形を変え今も歩み続けています。

「木くず」は再生可能エネルギーの資源として私たちのすぐ傍で貢献しています。

木更津工場は、東日本大震災の年3月に事業として大きな方向転換をしました。再生ボード製造事業から退き、マテリアルリサイクルからサーマルリサイクルへの木くず処分に特化した工場へ変わりました。

木くず専門の中間処理場は数少ないですが、時代の流れとして「再生可能エネルギーが掲げられた国政」需要で、木質バイオマス発電所の活動量が年々増えており、木更津工場もその一翼を担う形で持続可能な開発目標(SDGs)へ積極的に取り組み、貢献に繋げています。

当社の事業が関わるSDGsの目標は7・11・12・13・15・17です。

SDGs

木更津工場の中間処理業としての受入品目は、産業廃棄物の「木くず」と一般廃棄物の「木くず」です。

主に建設廃材(新規・解体・リフォーム)・木製品に係る工場廃材・木製廃パレットが産業廃棄物「木くず」となり、受入れには委託契約が必要となります。

木更津市内限定となりますが、個人でおこなうDIY(リフォーム)で発生する木くずは一般廃棄物扱いとなります。持込みとして少量であれば市が管理するクリーンセンターが便利と思いますが、持込みには条件があるため、条件対象外となる場合でも木更津工場で対応可能です。
(一般廃棄物については木更津市のゴミの出し方を参考にしてください。)

木更津工場は時代の変化に揉まれながら成長をしてきた工場です。

木くずの処理としても設立当初は「型枠廃材と廃木パレットのみ」から「条件付き木くず」を追加し、現在では多少の条件はありますが、建廃木くず・解体木くず・事業木くず・木製廃パレットなど、多種にわたる幅広い木くずの処理を進めており、再生資源化に協力をする企業として着実に前進しています。

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おかげさまで100周年

株式会社 東京木工所
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