【No.306】株価5.5万円台へ…エコノミストの視点…日本経営者の夢は

マネックスグループグロバル。アンバサダーのイェスパー・コール氏は英投資銀行東京オフィスでキャエリアを始めたころ、恩師が「債権は紳士のため、株式は夢想家のためにある。株は強い夢がなければアウトパフォーム出来ない」と話した。日経平均株価が4万円台に達したいま、日本の夢どこにあるだろうか。私は日本の将来に関しては夢を見ることは忘れない。日経平均は2025年末までに5万5,000円まで上昇するだろう。この予測はバブル期のブローカーめいているが、株価での強気は隠せない。日銀の金融緩和や政府の「新しい資本主義」が理由ではない。政府のマクロ刺激策が株価を下支えする時代は終わった。

今の日本の強さを支えているのは民間部門によるボトムアップだ。過去20年にわたる絶え間ない「カイゼン」と「リストラ」が、ニッポン株式会社を価値創造の大国に転換したのだ。具体的には1995年から2022年の間、東証株価指数(TOPI)構成銘柄の株当たりの純利益(EPS)は11倍に増えた。一方、米国S&P500 種のEPS増加率は6倍だった。日本のCEO(最高経営責任者)はウオール街のスパースター(CEO)を価値創造で上回った。しかしこの間TOPIXが1.3倍に上昇したのにS&P500 8.4倍に急騰した。何故か。金融の世界では、株価とファダメンタル(売上高・利益・業績・資産・負債などの財務状況)な指標との乖離が企業価値を決める。つまり米国企業はこの期間に「成長プレミアム」を獲得したのだ。それは、米国の最高責任者が投資家に対して夢を実現させようとしてきたからだ。

米大手運用会社GMOは株価と売上高や利益、簿価を組み合わせることで市場による時々の評価を除いたか総リターンの指標を開発した。これによると過去10年間の累積リターンは日本が13%、欧州が6%、米国は4%だった。此の数値が日本株の強気の理由だ。日本のCEOは真の価値創造を実現するトップリーダーだ。ウォーレン・バフェット氏が日本の最高経営責任者を評価するのも当然のことだ。

日経平均が25年末に5万5,000円になるには37%の飛躍が必要だ。投資家はその根拠を問うが、日本は困難なデフレ期にEPSを拡大させた。その他指標を用いて日本企業の価値創造を説明すれば、外国人投資家は今後2年間でEPSが30%~40%成長するのは、合理的な予測だと理解を示すだろう。しかし夢についてはどうだろうか、米テスラのイーロン・マスク氏のように将来の改革と成長に向けて戦略をアグレッシブに語り始めたらどうなるだろうか、「米国のように成長プレミアム」が日本でも実現することになる。日本の最高経営責任者に対して、国内外の投資家は刺激を待っているのだ。 超低金利下の経営環境で、企業はある種の横一線状態にあった。今後、金利の規律が強まれば、財務や資本効率の優劣で明暗が分かれ、資金調達力の差も広がる。事業の構造改革や産業再編への機運が高まる。人口動態や地政学、脱炭素の動きも視野に入れつつ、世界でどう稼ぐかが一段と問われることになる。企業の成長にはアニマルスピリットが重要だ。サントリーの成長戦略は各国の市場でしっかりと根を張る。製品の安売りをしない。世界3大企業になる。3点が方向性になっている。空調のダイキン工業も12年にグッドマン・グローバルという米国第4位のメーカーを買収したが、ダイキンの戦略は、世界一、M&A、ルールメーキングの3つがポイントになっている。米国でナンバーワンになって本当の世界一をめざす。その原動力について、米環境規制の見直しを求めてロビー活動を続ける同社植村常務によると、「米国テスラのように世界を変えたいと会社の上から下まで考えている点ではないか」話した。3月下旬主要企業の社長の調査で、夢を聞いたところ「社会課題の解決」や「世界一」を目指す夢が多かった。また経営判断で以前よりリスクを取るようになったとの回答は8割近くに達した。経営者のモードチェンジが鮮明になった。社長が語る夢に共感した従業員が成長のエンジンとなり動きだした企業にはお金も人も集まる。経営者の夢が企業の次の飛躍の舞台と向かう。日本株も成長プレミアムを獲得して25年末には5万5,000円も現実味を帯びてきた。

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