お知らせ
本社ベトナム ラオカイ省「シナモン植林プロジェクト」事業報告
2024.4~2025.3
ベトナム ラオカイ省での植林プロジェクト
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- JIFPROは1998年から、ベトナムにて植林事業を実施
- ベトナムでは1995年に森林率が28%にまで減少し、それ以降、植林や森林保全政策を国家の最優先施策として進めてきている
- 2021年4月1日には、ベトナム国首相令により「2021~2025年10億本植林計画」が発布され、5年間で18万haの植林を全国的に進めることとしている
- こうした現状を踏まえ、JIFPROはこれまでの25年間(1998-2024)で18の植林プロジェクトを実施し、植栽面積は3,867haに及ぶ
有機シナモン植林プロジェクトの概要
目的 |
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期間 | 2023年4月~2025年3月(2カ年) |
対象地 | ベトナム国ラオカイ省バオ・イエン(Bao Yen)県ヴィン・イェン(Vinh Yen)コミューン |
植栽面積、本数 | 総面積42ha(2024年度は26haに169,000本の植栽を行った) (うち株式会社東京木工所様からの2024年度の寄付により植栽済の面積は1ha) |
植栽樹種 | シナモン(シナニッケイ、Cinnamomum cassia) |
参加世帯数 | 23世帯 |
本年度の活動 | 2024年度植栽地への植林および保育、農民への植林技術教育 |
- 植林地は標高500m~1000mの山間地で農家はみな貧しい。ベトナムでは単に木を植えることによる木材生産だけでなく、木材以外の非木材林産物(NTFPs:Non Timber Forest Products)を活用して森林造成と生計向上を目ざす村落林プロジェクトが実施されている。今回のプロジェクトは10年程度で商品作物として換金が可能な「シナモン」を選択し、林地の保全と生計向上の両立を目指している。
- 主として木材生産を目的とした森林造成では1ha当たりの植栽本数は750~2000本/ha程度(土壌や立地条件によって異なる)であるが、本プロジェクトでは1ha当たり6,500本の苗木を植栽しており、土壌の保全とシナモンの商品価値の向上のために密植を選択したものである。4年後に間伐を行い、更に10年後には外樹皮をシナモンとして収穫し、現金化する。その後、得られた収益をもとに、森林を継続的に造成していくことになる。
- なお、現地の農民は体系的に植林技術を学んだことがなく、適切な研修によって植林技術や保育方法を学ぶことが重要である。特に、密植による林地養分の収奪化を防ぐために有機肥料を積極的に活用する予定であり、こうした技術を活用して適切に森林を管理することにより、持続的に森林経営を行っているとして「森林認証」を受けることが可能となる。
- プロジェクトに参加している農民は一戸あたり1~2haの土地利用権を与えられており、研修を受けたのちにそれぞれ土地に植林を行っている。
農民への事前研修(座学)
2024年12月11日、有機シナモンの植え付けと整地に関する研修を行った。
参加者は、肥料の選択、施肥方法、苗木の選択、植え付け時期、土地の準備、有機シナモンの植え付け方法など、植樹に関する技術と実践を学んだ。
昨年の植樹後に専門家が行ったモニタリングで明らかになった問題点についても共有された。
- 植穴が小さい
- 鶏糞がよく混ざっていない
- 土壌の圧縮が不十分であった
- 苗を深く植えすぎた
これらは苗木の枯死や生育不良につながることを説明し、これらの点に気を付けて植樹を行うよう指導した。
植樹に参加する農民を集めての研修
農民への事前研修(実技)
実地で植穴を掘って農民に教えます
植栽されたシナモンの苗木
植樹活動に参加する農民のみなさん
有機肥料と苗木の配布
トラックから有機肥料を降ろし、
各農家が持ち帰る質の良い苗木を選ぶ
調達した苗木をトラックに搬入して
各農家に配布する
植栽後の状況およびモニタリング結果
山の斜面にシナモンの苗木を
植栽しているシナモンの苗木
順調に育っているシナモン
2024年に植えた苗の生存率を2025年2月7日と8日に専門家が確認した。
その結果、苗の生存率は79.0~100.0%であった。
植え付け密度は6,410~20,408本/haであり、これは研修で指導された密度よりも高い密度でシナモンが植えられたことを意味する。
その理由としては、雑草の発生を抑えるため、また3~4年後に間引きを行うため(間引きしたシナモンの外皮を販売して収入を得るため)、自分で苗を購入し、密植しているとのことであった。
そのため、熱帯林造成基金から提供された苗の他に、各世帯は植樹地に植えるための苗を自分で買い足しているとのこと。
2024年に植えられたシナモンの総面積は26.49haであった。